最近の読書記録

 最近読んだ本。

『コフィン・ダンサー』 ジェフリー・ディーヴァ−
 前作「ボーンコレクター」で活躍した捜査チームが再登場。ゆえに、主人公を取り巻く人間ドラマ的な展開は今回は押さえぎみで、最初からチーム一丸となって、凄腕の殺し屋と追い掛けっこ。これが裏の読み合でとってもスリリング。最後には意表をついた仕掛けも炸裂して、大満足の一冊でした。


『愚か者死すべし』 原りょう
 ついに来ました、新シリーズ。国産ハードボイルドでは最も肌にあうシリーズゆえ、非常に期待して読み進めたのですが、期待通りの面白さ。初期のような「これは凄いぞ」というインパクトは薄かったですが、きめ細かい描写や言葉選び、作品を覆う空気感など、どれもが高水準でゆるみがありません。すでに次の作品にも期待しちゃってます。


『悪党どものお楽しみ』 パーシヴァル・ワイルド
 ギャンブル小説が大好きな私が「これだ!」と叫べる久しぶりの良作。元凄腕ギャンブラーの主人公が、トラブルに巻き込まれまくるワトソン役の相談に乗り、様々なタイプの「いかさま事件」を解決して行く短編集。ギャンブルものの鉄則である、相手のいかさま技を見破るだけで無く、その裏をかいて勝利する、という展開が読んでいて気持良かったです。


『歯と爪』 バリンジャー
 結末の意外性で有名な作品ですが、たまたま私の場合、前半思い描いた推理が大正解してしまい、驚き自体は大きくありませんでした。が、作者の手腕には上手いなぁと感心。良く出来たミステリです。


『誘拐』 ビル・プロンジーニ
 系統でいうとネオ・ハードボイルド系列の代表作、「名無しのオプ」シリーズの第1作とのこと。作者の事もシリーズの事もほとんど知らず、「久しぶりに誘拐ものでも読んでみようかな」と軽い気持で読み始めたのですが、これがびっくり、ストーリーの展開の早さとリーダビリティーの高さ、登場人物の魅力に吸い込まれ、むさぼるように読み進めてしまいました。題名通り、私立探偵ハードボイルド小説の王道である誘拐事件を正面から題材にしていますが、作者に筆力があり位負けしていません。ミステリ的要素も上手く折り込まれており、とても満足度の高い一冊でした。


『悪党パーカー/人狩りリチャード・スターク
 こんなに凄いシリーズを、今の今まで読み逃していた事が腹立たしくなるくらい面白かったです。悪漢小説の傑作シリーズと聞いてはいましたが、これほど心踊るような作品だったとは。まったくもって、海外ミステリをおろそかにしていたことが恥ずかしいです。


 海外には「まだ見ぬ強豪」がわんさかとひしめき合っているようです。